‐ヤンデレ達と私‐

おばさんはいつの間にか裏に行っていたのか、手にはオムライスを二つ持ってにこやかに歩いてきた。


「はい、お待たせしましたー」


「わーっ、おいしそう!」


手をお手拭きで綺麗にすると、いただきますと手を合わせスプーンを掴むとぱくりと一口食べる。


ふわふわな卵にチキンライスが凄く合っている、ホントに美味しいっ!


「‥美味しい!幸せー」


「そんなに喜んで貰えたら作ったかいがあるねー、コックに言ったら喜ぶわ」


そんな私を先生は子供でも見るかのような、優しい眼差しで私を見ていた。


恥ずかしくなり大人しく食べると、先生もいただきますと言うと静かに食べはじめる。


「やっぱり‥美味しい」


「先生一人で来てたんですか?こんなに可愛いお店に」


それを聞いていたおばさんはアハハッと笑って、違うわよっ!と言った。


「ついこの間まで長く付き合ってた彼女と来てたわよー、もうイチャイチャしながらっ」


「‥そうなんですか」


「しかも名前は言えないけど、有名な雑誌モデルよー?小説家はモテるのかしらね?」


先生はおばさんをじっと見てから目を伏せる。


やっぱり彼女居たのか、そりゃそうだよねー‥。


私は胸がずきずきと痛む理由を、知らんぷりしてひたすらオムライスを口に運んだ。



_
< 22 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop