君のことを想いながら

深夜。


俺は、また病院に来ていた。


サキは…もう寝ているな…。


俺は、壁を通り抜け病室へ入った。


「…サキ…ごめんな…」


サキの髪を撫でた。


やわらかい髪。


俺には、わかる感触。


でもサキには俺の手の感触はわからない。


病室に忍び込むなんて
…変態だな…。


ふっと、笑った。


「…ん…んっ…？？」


サキが目をうっすら開けた。


俺の肩がはねた。


俺は焦ったが何も見えないのだからすぐに平常心になった。


「…だ…れ？？」



「…………!？」


見えている…!？


いや、寝ぼけてるのか…!？


「……迎え…に来た…の？？」

サキは手を伸ばしてくる。


触れるはずないのに、俺の頬にサキの手が触れている。


「…………。」


俺は声を出さない。


サキは俺の翼を触る。


「…黒い翼…死神？？天使？？…それとも、悪魔？？」


……………!？


「……見え…るのか…？？俺が…？？」


サキは、完全に目が覚めたようだ。