君のことを想いながら
俺は大切なモノを
とり戻すため死神になった。


だから死神として
完全じゃない。


それでも、
地上に生きる人間には
俺は見えていない。


俺の死神としての仕事は
簡単だ。


『人の不幸を100集める』


たったそれだけだ。


不幸といっても、それは出来事じゃない。


心――だ。


不幸に見舞われた時、
人は他人を羨ましく思う。

―どうして自分だけが…―

その時に生まれた心の闇。


『憎しみ』

『妬み』

『恨み』

人間の醜い心。


そんな憐れな心を死神は
《不幸》とよんでいる。


それを集めるのが俺の仕事だ。
そして
その気持ちを魂-タマ-にして
穴に埋める。


地上では醜い気持ちが
溢れている。


人を陥れ、陥れられ。
人を罵り、罵られ。

仕事なんて、簡単だ。
< 7 / 182 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop