暖簾 のれん
「彼氏って何?」

「とぼけないで!すべて知ってるのよ。」

泣いたらダメ!自分にそう言い聞かせて拳を握りしめた。


「何の事か分からないよ。」
私と目を合わせないようにしている。

「昨日のアレは何なの?見たのよ私。ずっと貴方の車をツケてた。」

彼は黙ったままだ。

「さよなら言うしかないわよね?」


「・・・・・・・・・・・。」


「私をずっと騙してたの??」


「・・・・・・・・・・・。」



「俺は・・・・。俺は美朝子の家族は好きだ。義父さんの仕事も頑張ってやってるし好きだ。でも・・・。でも美朝子をもう愛せなくなっている。」



「だったら!!!!」



我慢していた涙が溢れ出てきた。私は小さく息を吸って言った。


「だったら・・・、夫婦でいる意味ないじゃないの。私を愛せないなら私たちの未来は無いじゃない!」


最後の方はもう声にならなかった。




私はそのまま家を飛び出た。
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