暖簾 のれん
夕方、目を覚ますと部屋の外から良い匂いがする。

そういえば飛行機から降りて何も食べていなかったな・・・
どう思うとお腹がキュ~ッと音を立てた。

ここに来るまでは何か食べたいって改めて思った事無かった。

窓の外はもう暗くなっていた。
布団を軽くたたんで、ドアを開けると昼間とは全く違うキレイなチェンレイが立っていた。

(あぁ、御出勤なんだな)

水色のスパンコールのちりばめたドレスにアップスタイルの髪の毛。
つけまつげが悩ましい。

「起きたの?よく寝てたわね。お腹が空いたでしょう!今日は私とペイレイから簡単だけど歓迎の夕食よ。熱いうちに食べましょう!」

小さなどんぶりに汁麺が湯気を立てていた。

「これって??」

「ペナン名物の1つ。アッサムラクサというラーメンよ。」

不思議なラーメンだった。プンっと魚のにおいがしたが、生臭くなく、ミントやパイナップルまで入っている。クセにな美味しさだった。

「へぇ、美味しい!」

「でしょう?!ペナンでも有名店から買って来たのよ。」
私は最後の汁一滴残さず食べ切った。

「さて、私は今から出勤なの。1時過ぎには帰ってくるわ。」

チェンレイが何か投げた。

受け取ってみるとそれは部屋のカギだった。

「出かける時は必ずカギをかけてちょうだいね。」
そういうとシャナリシャナリと出て行った。

ペイレイが後片付けをしながら言った。私のBFと一緒にパブへちょっと飲みに行くけど一緒に来ない?

私はうなづいた。


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