暖簾 のれん
ペイレイは彼女の腕を引っ張り上げると彼女は引き摺られて床に両手をついた。
彼女は泣きだしていた。

聞けばこのマレー人女性の名前は「ノゥ」ペイレイとチェンレイの同居人で、チェンレイと私の部屋に入っていた男は彼女の彼氏だった。

二人をソファーに座らせてファンの尋問は続いている。
ポケットすべてをチェックし、ペイレイは彼女の部屋を検査している。
結局1時間ほど部屋を漁っていたが、ペイレイたちの物は何も出て来なかった。
同じく男からも何も出て来なかった。どうやら盗みに入ってすぐ我々が帰宅したようだ。

そこへ仕事を終えたチェンレイが帰ってきた。

ご機嫌だったチェンレイの顔はみるみるうちに真っ赤になり、2人の顔を引っ叩いた。

「出て行きなさい。すぐに!!今すぐに!!警察呼ぶわよ!」

2人はソファーから飛びあがって荷造りを始めた。

時刻はもうすぐ午前3時・・・

2人は大荷物を家の外に運び出し、カギを押収して叩きだされたのは5時を過ぎていた。

チェンレイはまだ顔を真っ赤にして治まりきれないのか、たばこを取りだして火を付けた。

「全く!こうなる前に追い出せば良かったのよ!!」

「カギをすべて変えなきゃね・・・」ペイレイが言った。

何カ月も家賃滞納していたノゥは彼氏ととうとうこのような行動に走ってしまったらしい。何にせよ、盗みは良くないし私としては部屋が空いて大助かりだった。

部屋を覗くと4畳半くらいの大きなタイル張りの何も無い空間がポッカリと私を待っていた。でも床は埃や髪の毛で汚い。

私はほうきと塵取りを借り、掃除をした後モップで水拭きをし、そこにスーツケースと借りていた簡易ベッドを運び込んだ。

3人は中国語で真剣な顔をしてこの事件を話しあっていた。
来て早々色んな事が起こっているが、過去を忘れたい私には良い刺激だと思った。
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