暖簾 のれん
やっと契約通り手に入れた部屋は、小さいながらもこの空間がとても気に入ってしまった。
エアコンも小さいものがつけられているが、それよりも天井に取り付けられている大きな扇風機が良い。

微風に設定すればエアコン無しでも朝まで心地よく寝られた。

そして何と言っても窓から遠くに見える海が素敵だった。
海まで続く道のあちこちにのびている椰子の木。
その足元のあちこちに濃いピンク色のブーゲンビリアが彩っている。

(日本では見られない景色だ・・・)

南国ムードいっぱいの景色は、私を元気付けているようでワクワクさせられた。

共同のバスルームはシャワーしかなかったが、1日2~3度使う事もあり、かえって便利だったかもしれない。(簡単で済むし・・・)

しばらくはこの始まったばかりのこの生活に必要な物を買い揃えたり、島を探索したりと忙しい私だったが、殆どが揃うと今度は時間を弄ぶようになってしまった。

日中は寝ていて夜出勤のコウモリのような生活のチェンレイは昼過ぎまで起きて来ないし、ペイレイは朝早くから出勤で夕方まで帰って来ない。

私と言えば好きな時間に起きて好きな時間に寝ているが、これでは何をしにここへ来たのか分からなくなってしまう。

(これじゃイケナイ。)

私は2人に「働きたい」と告げる事を決心した。

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