暖簾 のれん
「窓の外は悲しいほどお天気なのになぁ・・・」
今日も青々としている美しい海。

何だかバカにされたのが分かって悔しくなってきた。

「もう二度とあの店には行くもんか!バカ野郎・・・。」

日本語でつぶやいたその時、いつの間にかチェンレイが後ろに立ってた。

「ホントウニ バカヤロウネェ!」

困った顔して笑ってみせると、チェンレイはにやりと笑い、

「今ジェフリーに電話したら寝過ごしてたらしくてさ、慌ててたよ。あと30分で迎えに来るそうだよ。」

チェンレイがどうしてジェフリーの携帯番号を知っていたのかが不思議だったが、お客との待ち合わせにバーを使っているとジェフリーが昨日言っていたので何だかうなづけた。

彼女がモーニングコールをしてくれてよかった。


私の携帯が鳴った。着信音ではなくメッセージの方だ。

見慣れない番号で届いていて、「ごめん、今すぐ行くから」と書いてあった。

まぎれも無くジェフリーからだった。

私の胸はまた高鳴り始めたが、昨日ほどではなかった。

もうドキドキとがっかりの繰り返して疲れてしまったらしい。

ジェフリーの白いスポーツカーがアパートの前に着く頃には落ち着いていられた。

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