暖簾 のれん
有里は中学からの同級生。
沈着冷静なその性格は単に「冷たい人」と周りに誤解を招く事が多かったようだ。
けれど私から言わせれば、曲がった事が嫌いで困った人を見て見ぬ振り出来ない正義感の強い優しい人だ。
ただ少し感情を出すのが不器用なだけ。
有里には親に言えない事も何でも相談できた。
有里の前なら無様に泣く事もできた。
友達はたくさんいたけど、親友と呼べたのは彼女だけだったかもしれない。
東京での仕事を辞めて半年前にこの田舎に帰ってきていたが、有里と私はなかなか忙しく、電話やメールでしか連絡を取っていなかった。
皮肉にも久しぶりの再会が今日この時だというわけだ。
このスポーツクラブに通っていた有里は私の夫の存在を知っていたものの
性格上、自分から自己紹介なんて出来る子ではなかった。
だから夫は有里の顔を知らなかった。
煙の中から有里が言った。「明日、ダンナの車をツケてみる?」
私はまだ信じられなかったが、百聞は一見に如かず。
有里の顔も見れずにうなづいた。
沈着冷静なその性格は単に「冷たい人」と周りに誤解を招く事が多かったようだ。
けれど私から言わせれば、曲がった事が嫌いで困った人を見て見ぬ振り出来ない正義感の強い優しい人だ。
ただ少し感情を出すのが不器用なだけ。
有里には親に言えない事も何でも相談できた。
有里の前なら無様に泣く事もできた。
友達はたくさんいたけど、親友と呼べたのは彼女だけだったかもしれない。
東京での仕事を辞めて半年前にこの田舎に帰ってきていたが、有里と私はなかなか忙しく、電話やメールでしか連絡を取っていなかった。
皮肉にも久しぶりの再会が今日この時だというわけだ。
このスポーツクラブに通っていた有里は私の夫の存在を知っていたものの
性格上、自分から自己紹介なんて出来る子ではなかった。
だから夫は有里の顔を知らなかった。
煙の中から有里が言った。「明日、ダンナの車をツケてみる?」
私はまだ信じられなかったが、百聞は一見に如かず。
有里の顔も見れずにうなづいた。