暖簾 のれん
車を停めると急いでドアを開けてジェフリーが飛び出してきた。

「ごめん!ミサコ!昨日飲み過ぎて目覚ましが鳴ったのにまた寝ちゃったみたいなんだ。」

急いで来たのだろうが、ちゃんと身なりを整えておしゃれをしてきていた。

「もう来ないかと思っちゃった。」

「ごめん、ごめん!美味しいレストランの予約をしてあるからさ、さぁ行こう!」

私は車高の低いジェフリーの助手席に乗った。

車はすごい勢いで発進した。

「そんなにスピード出して大丈夫?」と聞くと、ニヤリと笑って

「怖い?」と聞いた。

「怖くはないけど・・・」


私は何を話していいのか分からなかった。


でも流石はプレイボーイ。次から次へと色んな話が出てくる。

退屈させない術を知りつくしている。

車は海辺へと出て小高い場所にあるホテルへと着いた。

ジェフリーは急いで降りると外から回って助手席のドアを開けて言った。

「さぁ行こう!ここのシーフード、すごく美味しいんだよ。」

私は車を降りてジェフリーの隣を歩いた。

エントランスを通るとレセプションを始め、皆ジェフリーを知っているのか
握手や挨拶を交わしていた。

その度に紹介される私だったが、何だか照れくさかった。

レストランはプールサイドにあり、たくさんの人が食事をしていた。

「予約」と書かれたプレートの席に案内されると私たちは向い合せに座った。




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