暖簾 のれん
何だか浮かれているジェフリーには悪いのだが、私の本来の目的を探すカギになるかもしれないと思って恐る恐る聞いた。

「ねぇ、ジェフリー。私、働き場所を探しているの。」

「え?!」

結構驚いた顔で私を見た。

「観光じゃないの?」


「違うよ。ここで新しい事始めたいの。」


ジェフリーは少し考えてから言った。


「じゃぁさ、俺のカフェ・バーでバーテンダーしてみる??」

「バーテンダー??!」

「と言ってもビア・ジャグにビールを注ぐのがメインだけど?」

ニコリと笑って私を見る。


「やる!!私にやらせてくれる???」

「いいよ。給料はそんなに払えないけどいいかな?」

(今の時点では仕事を探すのが目的で、給料なんて二の次だった)

「どうもありがとう!!」

ジェフリーは手を出した。

私は固く握手した。

ラッキー!!!

目の前の障害物が音を立てて崩れて行く気分だった。

(違法だけど働ける!!)

ここに来てからの大きな前進だった。

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