暖簾 のれん
「タバコ、一本くれる??」これが今後の私の喫煙の始まりだった。

パチンコのネオンが頭の中が真っ白になった私をからかっているように見えた。

無理やりタバコを吸い終わるとクラクラする頭で有里に言った。


「知らせてくれてありがとう。」


「いや、ごめん。でも許せなくてさ。」有里は申し訳なさそうに横を向いたまま言った。

実に彼女らしい。

これからどうすればいいんだろう?

「これからどうしようって考えてない?アタシんちにとりあえずおいでよ。」

この日は有里の家に泊めてもらうことにした。

結婚して初めての無断外泊。

夫は私の心配などしてくれるのだろうか?

そう思いつつも携帯の電源を切った。
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