Best friend



「佐恵...じゃあ私これからずっと笑顔でいる!」




「あ...り...がと」






佐恵の言葉はだんだん小さくなり、聞き取りにくくなっていった。








これから、話せなくなるのかな。






声も聞けなくなるのかな。




学校に行って、笑って話すこともできなくなるのかな。







私はそう思うと泣きそうになった。







さっき佐恵の前では泣かないって約束したから



「ごめん!トイレ!」





と言って病室を出た。








「神様の馬鹿ぁ~!何もこんなに苦しめなくてもいいじゃん。」




私はその場で30分ぐらい泣いていた。



そして心を落ちつかせ、病室に戻った。



「佐恵~ごめんね、遅くなっ....え」



私が病室に戻ったころ、佐恵の体調は急変していた。



後から聞いた話だけど、あの時私と話せたのも奇跡なんでって。


あの時の佐恵の「ありがとう」が私が聞いた最後の声だった。





それから佐恵の病院に行っても、話すこともなく


ただ静かに眠る佐恵を見守ることしかできなかった。



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