詰めていく箱
回想生物

静寂をナイフで切ったような
静かな夜に限りなく
孤独と孤立が
銀河のように渦巻いて
俯き蹲る
隣に自分がいたらなんて
求めないこと考える

そっと髪に触れた
微睡みの中で歪む視界には
変わらぬ景色-view-
微睡みのせいではないのか
歪んだ視界は
"私"で濡れたもの
そうして立ち上がりたいのに
身体に憑く重みは
これまでの人の数

2本の手
それ以上あったら、化け物だ
君は人間-human-だろうか
確認する術もないのに
脳にしまわれていく
蓄積された経験-experience-は
確かに"Ⅱ"だけ
私を撫でた手もそうでした
スゥ、と傷みが引いて
馬鹿になる頭
消えるわけじゃないのに
勘違いする、化け物

両手で目を覆う
色とりどり-colorful-の涙さえも
私の両の手、*本でしたか

肩で息をしていても
肺に入らない
コヒュッ、と詰まる音が聞えて
嗚咽が、息が、記憶が、
宙-sky-が廻って廻って……、
自戒と自壊が行き違う

閉じても開けても暗い世界
変わらないから視なくなった
目は開けない、識りたくないから
そっと髪に触れた
優しく撫でる君は
何時かの回想-album-

*本の両の手を雫石で濡らした
立ち上がる気は失せて
定点に居座る自分に
思えば力なくて……
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