化学室のノート【短編】



整った文字の二行下。



そこにそっと私は書き付ける。



『モル濃度なんてなくていい』



できるだけ、
上の文字に見劣りしないように



丁寧に、書いた。



そして何事もなかったかのように
ノートを閉じて、



何気ない顔つきのまま
それをさっきあった場所へとおいた。



うん、これでいい。



自然と顔がにやついた。






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