化学室のノート【短編】
「ここであなたに会うなんて、
私には予想外の出来事だった。
あなたもそうでしょう?」
尋ねると、眉をよせて不思議そうな顔をしながら彼は頷く。
「私ね、本当は春に一組で
あなたがあのひとだって、当てたかったの。」
そこでようやく彼は納得のいった顔をした。
その表情に私も
満足げに頷きを返す。
「何も知らない振りをして
俺がノートの相手だと、当てたいんだな」
「そうよ」
朗らかに微笑む私にため息をつきつつも、彼は困ったように頷いた。
「仕方ないな。
じゃあ、一旦お別れだ」
そして彼は机から
降りる。