化学室のノート【短編】


急いで私は筆箱から
シャーペンを取り出して



その二行下に
シャーペンをおろす



そこで
はた、と気付く。



どうしよう…
何を書けば良い?



そこでふいに
一際声を大にした先生の一言が耳に飛び込んでくる。



「いいかー!!
無機化学の分野は暗記だからな!!
計算苦手なやつはここで挽回しろよー」



―――暗記。



『暗記が苦手なんですか?』



ゆっくりとペンを走らせる。



よし、これでいい。



ぱた、とノートを閉じて
また机の下に入れる。



どうしよう、
また顔がにやけちゃう。




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