ツインテールの呪縛
ーーーーー
ーー



「…やけーん、ここの訳はーー」
♪キーンコーンカーンコーン


初老のおっさん古文教師の言葉を遮って鳴る授業終了のチャイムにクラスのほぼ全員は「待ってました」とばかりにガタガタと教材を片付け始めた。


「あー…じゃあ次はここの訳からするけーん、みんなやっとってー」
「きりーつ、気をつけーれー」


これまたおっさん古文教師の言葉を遮るように総務が号令をかける。

「「ありがとうございましたー」」


終業の挨拶もおざなりにみんな立ち上がって喋りだす。


あたしも教材を机に突っ込んで鞄からお弁当を取り出す。

ちらとおっさん古文教師を見ると、大きな溜息を吐いて肩を落としながら教室から出て行くところだった。

がんばれおっさん。

あたしは密かにおっさんの今後の健闘を祈った。



「美保ー食べよー。」


こっちゃんがお弁当と水筒を手にやってくる。

「ごめん、今からちょっと用事があって…」


そう言うと、こっちゃんは不満をおおっぴらに顔に出してブーイング。


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