ツインテールの呪縛
お弁当の包みを解きながら颯太を横目に見て思った。
近い…ってか、ほんと恰好いいっていうより綺麗だ。
「ん?」
颯太が口元に笑みを浮かべたまま顔を上げてあたしと目があう。
パッと視線をお弁当に落として素知らぬ振りをしてしまう。
わ、感じ悪い…。
それでも颯太は気にした風でもなく、自分のご飯をビニール袋から取り出す。
今日はコンビニのご飯みたいだ。
「いただきます。」
颯太がおにぎりの包みを破りながら言った。
あたしもお箸を持ったまま手を合わせて言う。
「…いただきます。」
今日のお弁当のおかずは卵焼き、えびフライ、マカロニサラダ、そしてきんぴらごぼう。
どれも朝から自分で作ったもの。
自分で作ったものだけど、美味しそう。
「…さっそくだけど、いい?大丈夫?」
颯太はおにぎりを頬張り、身体をこちらに向けた。
『大丈夫?』というのは、『聞く心の準備はできたか。』という意味なんだろう。
『たらこマヨ』と書かれたおにぎりの包みを見ながら、こくんと頷く。
颯太は口の中のものをごくんと呑み込んで口を開いた。
「美保ちゃんのお兄さん…聡(さとし)は、中学のときからあーいうのに興味を持ち始めたんだーーー。」
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