ツインテールの呪縛
ロッカーの前から立ち上がり教室を振り返ると、聡はもういなかった。
何となく聡が座っていた席の横を通って出ようと思った。
普通に歩いていたつもりだったけど、ちょうど聡の席に脚がつっかかって机が大きな音をたててずれる。
バサバサッと中から教科書類が落ちた。
「…うわ、結構置き勉してんだなぁーあいつも。」
まじめと噂されるあいつも人の子だったわけか。
俺はしゃがみ込んで拾う。
理科・国語の教科書に、翌日提出のはずの数学の問題集もあるから「どんだけ余裕なんだあいつ」と、とても印象に残ったのを憶えている。
ふと、教科書類の間に明らかに異様なオーラを放つものを見つけた。
見た目はいたって普通のブックカバーをかけた文庫本だ。
側面から見ると黒いページがあるから、挿し絵があるんだろうと思った。
何も考えずにパラパラーッとめくってみようとした。
最初にページが止まったのは、表紙を開いてすぐのカラーの数ページ。
活字ばりのページとは異なりツルツルしたその辺のページに描かれているものを見て、俺は目を見張った。
美少女がーーいや、華奢な身体に不釣り合いなほど豊満な胸をした美少女が、短いスカートにセーラー服という恰好で複数描かれていた。