間愛のつめかた
「エン……私も……だよ」

胸がきゅうっと締めつけられて、
私は布団の中で円士郎の背中に手を回して、彼の体を抱きしめた。

「悲しい目に遭うことがわかっていても──たった一度きりこの世に生まれてくるなら、エンのそばがいい」

一生懸命伝えたら、
円士郎の吐息が耳をくすぐって、
円士郎が優しい声で「留玖……」と私の名前を呼んで

私はそれだけで、円士郎の腕の中で自分がとけていくような気がした。


「神様が、いつでも好きな時代に生まれていいって言ってくれたら──エンのいる今を選ぶよ。

エンがいるこの時代に生まれてくるよ」


「そっか」


円士郎が身を離して、
私の顔を覗き込んで微笑んで、

唇が重なった。
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