間愛のつめかた
え……!?
強烈な違和感が舌から脳天へと突き抜ける。
一瞬、自分の味覚が信じられなかった。
なんで……?
混乱した頭の中に、そんな間の抜けた問いが浮かぶ。
それは、
そう。
刀丸が実は女の子だった、と知った時によく似ていた。
かくあるべきと己の信じていた現実が粉砕され、突然まったく異なる真実を突きつけられる衝撃。
途方もない真実にどう反応して良いのか、脳味噌が思考することを放棄し、俺は自分の身に起きたことが理解できないまま、椀の中身に視線を注いだ。
中では変わらずおいしそうな料理が、食欲をそそる完璧な芳香を放っている。
だが──
のろのろと視線を上げると、その場の全員がうつろな表情で手元の椀を凝視していた。
そうか。
俺もきっと今、同じような顔をしているのだろう。