間愛のつめかた
二、武士道とは死ぬことと見つけたり
【円】
こんなに甘い食べ物を生まれてこのかた初めて食べた。
これまで口にしたいかなる甘味でも、ここまで甘いものはない。
これはなんだ?
この世の甘さの限界に挑戦か?
アレか?
つまり、俺が甘いもの好きだと知っている留玖が、この俺のためにこの世の限界に挑んでくれた──
──と、こういうことなのだろうか。
マヒした脳みそで、俺はぼんやりとそんなことを考えて、
「どうかな?」
愛しい声に、ぎくりとする。
「私、おいしくできたかなあ?」
留玖はにこにこと、まぶしすぎる笑顔で俺を見つめていた。
う!?
「あ……ああ、留玖、ええとな……」
自分でも視線が泳ぐのがわかった。
この場で膳を前にした者全員が、俺に何かを期待するかのような目を向ける。
な……なんだ!?
かわいいかわいい留玖に向かって、
この俺に何を言わせようってんだ、てめえら。
「うん、なあにエン」
どこまでも無垢な美しい笑顔のまま、留玖が愛らしいしぐさで首をかしげる。
うっ!?
「留玖、この料理なんだけどよ……」
停止した俺の頭が俺の口に言わせた言葉は──