間愛のつめかた
「そ、そうだ! お前が作ってくれたこのでかいまんじゅうもいただくかな」
意識が遠ざかりそうになったところで、小休止を入れることにした。
とりあえず椀のほうは、一呼吸置いてからもう一度決闘を挑むことにする。
うむ、これも兵法だ。
まんじゅうならば、死ぬほど甘くても平気なはずだからな。
いや、むしろ甘いほうが歓迎だ。
俺がまんじゅうを手に取ると、我に返ったかのように他の連中も次々に椀を置いてまんじゅうを手にした。
「そ……そうだな! 満腹になる前に口にせねば失礼というもの」
と、真っ青な顔で鬼之介。
「し、塩気のあるものを食べたら、甘いものが食べたくなりますからね……」
と、塩気など存在しない料理に対して冬馬。
俺たちはそれぞれ手に持ったまんじゅうを口へと運んで──
「待て……! それは──」
せっぱ詰まった宗助の声が床下から俺の耳に届いたのは、大きなまんじゅうを口いっぱいにほおばったのと同時だった。