懺悔する恋人たち【短篇】
空洞になった眼窟。
僕が好きだった君の瞳は、手のひらに。
もう君は彼の姿を映さない。
そして、悲しいことに僕さえも。
君の流す涙は宝石のようだったのに、今は赤黒くて悲しい。
とうに狂った筈の僕なのに、胸が痛んだ気がした。
おかしいね。
笑みが零れる。
歪んだくちびるで愛おしい君に終わりの口づけを。
ゆっくりお休み。
僕が君の傍にいてあげるから。
ゆっくり、と。
その流れる赤い涙が癒えるまで。
〆