ダークエンジェル
「あ、すみません。
僕、眠ってしまって。
看病のつもりだったのに… 」
リュウは慌てて言い訳をした。
別に悪い事をした訳ではないが…
無断で泊まったことが何となく気になったのだ。
「私のためにこうして泊まってくれたんだね。
有難う。
だけど家に帰らなくて良かったのかなあ。」
彼はリュウの事を気にしてくれた。
「はい。家には言ってありますから大丈夫です。
あの… 僕、昨日部活をして以来シャワーを使っていないので、
ちょっと借りても良いですか。」
「うん、良いよ。
バスロープも数着入っているから…
君の名前、聞いてもいいかなあ。」
「僕は高倉龍彦と言います。
でも皆は、リュウ、と呼んでます。
龍彦の龍がリュウと言うからです。」
「リュウ… 呼びやすい。」
「あなたはカイル・ハワードさんですね。」
「そう、カイルと呼んで。」
リュウがシャワーを使っている間に
カイルはモーニング・サービスを頼んでおいてくれた。
「すみません、朝食まで… 」
「私のためにここにいてくれたのだから当たり前さ。
足りないぐらいだ。」
と、話していると、
水嶋がリュウの着替えを持って現われた。
「こら、リュウ。
お前、昨夜は帰りたくなかったから、
看病などと言ってここに泊まったんだろ。
あれ、ハワードさん、もう良いのですか。」
そう、リュウは水嶋に嘘をついていた。
「ああ、お陰ですっかり気分が良くなった。
有難う。君も一緒にどう。」