ダークエンジェル
「父さん… 本当にそう呼んでも… 

はい、ガクトは直接ママを殺した奴、

ドートンとソージャはそのことを知っていながら、
私の前でママの悪口を、
死んで当たり前のような事を言った。

ピクトルはママのことを色仕掛けで愛人になった、と言った。

許せなかった。
だから皆殺すことにした。

私は巧妙にやったから証拠は何もない。

勘ぐるならば、
すべてソージャが… と思えるようにした。

ソージャを追い込んだ時、
予定通り爆弾を仕掛けさせ、
爆風で落下、
墜落死させたまでは計画通りだった。

しかし、多くの社員を巻き込み、
重傷を負わせてしまった。

神が私に罰を下し… 
片足を失う事になった。

今、私は人生の潮時を感じています。

私を殺そうとしている者がいるならば、
殺してほしい。

それに、父さんとリュウがこうして来てくれた。

こんなに幸せな事はない。

今ならこの幸せな気持のままママのところへ行けそうな気がします。

なんだかとても疲れたような気がします。
眠りたい気持です。

父さんは今までどおりリュウをしっかり育ててください。」



カイルは信秀からリュウに視線を移した。



「何言っているんだよ、カイル。

僕だって、カイルぐらいソフィアの事を、
殺されたと知っていたら敵を討つ。

悪口を言っているのを聞けば、
そいつらだって同罪だ。

カイルと一緒だよ。

神様はそんな人を罰したりはしない。

褒めてくれるよ。

巻き添えで怪我をした人たちには、
カイルが誠心誠意回復するように尽力すれば良いじゃあないか。

カイルは会社のトップ、会長なんでしょ。

何でもできる人がしなくてどうするの。

僕は頑張っているカイルを見ていたいよ。」



リュウも父に触発されたように、
真剣にカイルに伝えている。



「せっかく会えたのに… 

父さんは写真も書類も僕には見せてくれなかった。

きっとカイルの事を一人で思い出していたんだと思う。」



父の言葉を聞き、
リュウの言葉を聞き… 

カイルは違う意味で涙を流している。
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