ダークエンジェル
「そうですけど…
でも私たちには… 」
「私たち、と言うのは君と、誰の事。」
しかし、信秀の態度はあくまでも大人だった。
リュウと同じぐらいには成長しているドリーだが、
まだ14歳と聞けば…
とにかく訳を全て聞きたかった。
「私と兄のキースです。
私たちはママが死んで…
でもパパは私たちを引き取れず…
私が5歳になるまで孤児院にいました。
それからおばあ様が知って…
私たちを引き取ってくれたのです。
おばあ様はハワード家を出てから
ニューヨークでブティクをしていました。
それでパパから養育費をもらい…
私たちはとても幸せだったのです。」
子供には辛い事だが、
ガクトの顔色をうかがっていた生きていたドートン、
息抜きのつもりで愛人を作ったまでは良かったが、
ガクトの目、妻の目から隠れての行為では、
大変だった事だろう。
その気持は愛人にも伝わり…
顔を見ればいさかいが起きていたのだろう。
しかし、2人も子供を作って、
放っておくとは。
自分の母親が育ててくれると思い、
安心していたのか。
この少女もカイルと同じように、
大人の都合で翻弄された被害者のようだ。
信秀はドリーを見てそんな風に受け取った。
「しかし、その人はどうしてカイルを殺そうとしたのだい。
カイルは財団のトップになったところだよ。
ドートンは半年も前に亡くなったのだろう。」
信秀はカイルが狙われた理由が知りたかった。
日本にいても、カイルを守る事が出来るならば、
と言う父親の気持なのだろう。。