ダークエンジェル

いや、信秀は、

ひょっとしたらカイルがドートンを殺した、

と思っての上での復しゅうなのか、とも案じていた。

カイルは、巧妙な手口を使ったから、

ひょっとしたらソージャが、と思われることはあっても、

神以外は分らない、と断言していた。

しかし、この世に絶対はありえない。

カイルはそう思っていても… 
と言う不安があった。

もし、そうならば自分もとるべき態度を決めなくては、
とまで思っていたのだ。

そう、こんどこそカイルを守るのは自分だ、と決めていた。

しかし… 



「はい。その頃からおばあ様のブティック、
不況の波で売り上げが落ち… 

前にも何度かそう言うことがあったようですけど、

その時はパパが送ってくるお金でやりくりが出来たそうです。

でも、今度はパパがいませんので… 」



と、ドリーは想定外の言葉を出している。



「まあ、ニュースでも、
今は多くの国の経済が落ち込んでいると言っているほどだから、

買い物をする消費者が少なくなっているのだろうね。

ましてや高級な服などは… 
しかし、それでどうしてカイルを殺そうとすることになるのか、
まだ分からないよ。

ドートンの遺産は無かったの。」



カイルの言葉の中で、
ドートンは無能、とか言う言葉は出てきたが、
ハワード家の長男だ。

それなりの遺産を受け取った家族は、

それまでどおり、悠々自適な暮らしをしていると聞いた。

トラブルは出ていなかった。

存在を知られていなかったのか。



「はい。私たちは認知されていませんので… 

おばあ様はソージャという人に掛け合ってくれましたが、
相手にされなかったそうです。」
< 131 / 154 >

この作品をシェア

pagetop