ダークエンジェル
いや、信秀は、
ひょっとしたらカイルがドートンを殺した、
と思っての上での復しゅうなのか、とも案じていた。
カイルは、巧妙な手口を使ったから、
ひょっとしたらソージャが、と思われることはあっても、
神以外は分らない、と断言していた。
しかし、この世に絶対はありえない。
カイルはそう思っていても…
と言う不安があった。
もし、そうならば自分もとるべき態度を決めなくては、
とまで思っていたのだ。
そう、こんどこそカイルを守るのは自分だ、と決めていた。
しかし…
「はい。その頃からおばあ様のブティック、
不況の波で売り上げが落ち…
前にも何度かそう言うことがあったようですけど、
その時はパパが送ってくるお金でやりくりが出来たそうです。
でも、今度はパパがいませんので… 」
と、ドリーは想定外の言葉を出している。
「まあ、ニュースでも、
今は多くの国の経済が落ち込んでいると言っているほどだから、
買い物をする消費者が少なくなっているのだろうね。
ましてや高級な服などは…
しかし、それでどうしてカイルを殺そうとすることになるのか、
まだ分からないよ。
ドートンの遺産は無かったの。」
カイルの言葉の中で、
ドートンは無能、とか言う言葉は出てきたが、
ハワード家の長男だ。
それなりの遺産を受け取った家族は、
それまでどおり、悠々自適な暮らしをしていると聞いた。
トラブルは出ていなかった。
存在を知られていなかったのか。
「はい。私たちは認知されていませんので…
おばあ様はソージャという人に掛け合ってくれましたが、
相手にされなかったそうです。」