ダークエンジェル
「しかし、それだってカイルには無関係な事だと思うが… 」
信秀はドリーの話は納得行かないと言うような顔をしている。
そんなことで自分の可愛いカイルが狙われるなんて、
全く意味が分らない。
そんな顔だ。
「はい。私たちもそう思いました。
だからおばあ様を説得したのです。
これからは私たちも働くから、初めからやり直そう、と。
キースはデザインのセンスが良いのです。
おばあ様のブティックで働きながらデザインの勉強をするのが夢でした。」
「じゃあ、それで良いじゃあないか。
もうカイルに手を出すなって、
きっちり言っておいてくれれば、何も問題は無いさ。
父さん、そうだろ。」
リュウはどうしてもカイルの命を狙った事が許せなかった。
「おばあ様が看護師を雇って狙ったのは一度だけです。
今なら意識もない状態だから、
異物を体内に流し込めば頭が使い物にならなくなる。
そうなれば、
金はおばあ様の通帳に永遠に流れ込むようにしてくれる、と言われたのです。」
と、またドリーは2人の想定外の言葉を出している。
「そんな事を誰が…
父さん、どういうことなの。
まだ誰かがカイルを狙っているんだ。
どうしてなの。」
「さあなあ。
話がよく分からないが…
まだなにやら潜まれているような感じだなあ。
ドリーはどうして日本まで来たんだい。
飛行機代だって安くはなかったんだろ。
よくここまで来られたね。
その辺りから話してくれないか。
龍彦、昨日カイルと話したんだろ。
何か言っていたかね。」
そう、リュウは家に着いてすぐにカイルに電話をしていた。
「ううん。
カイルとはテニスの話をしただけだよ。」
あの時は、カイルが、
日本へ行くのが楽しみだ、とか、
絶対に勝てよ、と言う様な事ばかりだった。
狙われた、とか、
おかしな事が遭った、とかの類ではなかった。
愛を感じるカイルの声で、
幸せな気持で話を終えた。