ダークエンジェル

「そこにいるのは誰。
何をしている。」



リュウは急いで声をかけた。

父に何をしているのだ。
父は動けないんだぞ。
次の言葉は決めていた。

しかし… 明かりをつけて… 
男の顔を確認し… 
リュウは驚いた。

そこにいたのは… 



「カイル… どうしてカイルが… 

何をしているの。
父さんは眠ったままなんだよ。
どうしてここにいるの。」



そう、明かりの中にいたのは… 

水嶋の店の寿司が気に入ったらしい外国人、

アメリカ人のビジネスマン、カール・ハワードだった。

あれ以来、忘れていたが… 
そう言えば、もう2ヶ月以上になる。

まだ日本にいたのか。
それとも再来日… 
いずれにしても何故ここにいるのだ。

リュウはそのことに戸惑い、
頭が真っ白になったような気分だ。



「返事をしてくれないのなら大きな声を出して人を呼ぶよ。

僕の父さんに何をしていたの。

まさか部屋を間違えたなんて言わないよね。」



カイルこそ、いきなりリュウが顔を出し、

明かりをつけたことで驚いたのか、

固まったように微動すらしない。

ただ黙ってリュウの顔を見ている。





「私は… 高倉さんの事故を知り… 
二ヶ月も意識が戻らないと聞き… 」



しばらくして、カイルが戸惑いを浮かべた声を出した。
< 43 / 154 >

この作品をシェア

pagetop