ダークエンジェル
写真を見てリュウはショックを受けた。
普通に考えれば…
カイルとソフィアは完全なアメリカ人。
自分は日本人の父とアメリカ人のソフィアから生まれたハーフ。
と言う事は…
カイルから父さんがソフィアを奪い取ったようではないか。
おなかに自分がいると言う事は、
ソフィアはカイルを捨てて
日本人の父さんと一緒に日本に来るつもりだったと言う事か。
初めて見る母の顔…
しかし、リュウは、
母の顔を見れた、と言う感動より、
ここにいるカイル、
そして父やソフィアの立場を考えてしまった。
違う、僕の父さんはそんな人ではない。
父さんは他人の奥さんを、
それも子供までいた人を奪うような事は絶対にしない。
隣の部屋で意識無く眠っている父を想い、
リュウは何も考えられなくなってしまった。
だけど、今、カイルは何か変な事も言っていた。
よく聞かなかったけど… 何を言っていたのだろう。
確か… 見つけられないように… とか… どういうことだろう。
「カイル… 僕の兄さんなの。」
「うん。公には出来ないけど、
同じソフィアから生まれた。
だけど… 私の事は高倉さんに知られたくないから絶対に秘密にして。
多分、彼は何も知らない。
単純にソフィアを愛し、
不運な事故でソフィアを失ったけど、
生き残ったリュウを必死で育ててくれた。
それが全て。
それ以上のことを知る必要は無い。
彼が美由紀のことをどう思っていたかは知らないけど、
意識が戻れば、
彼は優しいから、
3人の死で心に相当な傷を負うだろう。
リュウ、それを支えるのが息子としてのリュウの役目だ。」
いきなりカイルは父と共に事故に遭い、
死んでしまった3人のこと、
美由紀の名前まで出した。