ダークエンジェル

「分かった。やってみるよ。
カイルは… 」


「うん、今はまだすることがあるから戻る。」


「どこへ… 」


「アメリカ。
私の生きる所はアメリカしかない。

だけど… 血の繋がりは無いけど、
高倉さんがいてくれて… 
私も生きられた。

リュウにもこうして会えて… 
2人の存在を神に感謝している。

2人がいてくれるだけで、
私は人間らしく生きられる。」


「よく分からない。
だけど、僕もカイルがいてくれてとても嬉しい。

父さんも意識が戻れば… 
きっと喜ぶよ。

ああ、あの3人が死んで… 
悲しむかなあ。」



自分は別だが、父は確かに新しい家族に満足していた。

こんな時に彼らの事を思い出すなんて… 

リュウは自分の心に戸惑っている。



「気にするなよ。
まずは意識を取り戻すように努力するんだ。

こうして、暇があればリュウのチャクラを高倉さんに流し込むんだ。

じゃあ、私は行くよ。」


「カイル、このために来てくれたの。
すぐにアメリカへ戻るの。」


「うん、リュウが泣いているように感じた。
でも、安心した。
リュウはすごいよ。

こんな病院暮らしで、メダルを手に入れているんだから、

高倉さんも… 見れば大喜びだ。」



カイルはあくまでも優しく、リュウを励ましてくれる。



「カイル… 連絡の仕方を教えて。
何も知らないのは心細い。

僕、あまり携帯は使わないけど… 
番号はこれだよ。」



リュウはカイルの事を何も知らない自分を思い出した。

何度か声だけでも聞きたかった。

カイルはリュウが差し出した携帯に、
自分の番号を記憶させて… 

じゃあまた、と言って、
前と同じように堂々と部屋のドアから出て行った。


カイル… 僕の兄さん。

父さんはカイルの事を知っているだろうか。

ソフィアがどこまで話したか… 

父さんにはカイルの存在を話していないのかも知れない。
< 78 / 154 >

この作品をシェア

pagetop