ダークエンジェル
「分かった。やってみるよ。
カイルは… 」
「うん、今はまだすることがあるから戻る。」
「どこへ… 」
「アメリカ。
私の生きる所はアメリカしかない。
だけど… 血の繋がりは無いけど、
高倉さんがいてくれて…
私も生きられた。
リュウにもこうして会えて…
2人の存在を神に感謝している。
2人がいてくれるだけで、
私は人間らしく生きられる。」
「よく分からない。
だけど、僕もカイルがいてくれてとても嬉しい。
父さんも意識が戻れば…
きっと喜ぶよ。
ああ、あの3人が死んで…
悲しむかなあ。」
自分は別だが、父は確かに新しい家族に満足していた。
こんな時に彼らの事を思い出すなんて…
リュウは自分の心に戸惑っている。
「気にするなよ。
まずは意識を取り戻すように努力するんだ。
こうして、暇があればリュウのチャクラを高倉さんに流し込むんだ。
じゃあ、私は行くよ。」
「カイル、このために来てくれたの。
すぐにアメリカへ戻るの。」
「うん、リュウが泣いているように感じた。
でも、安心した。
リュウはすごいよ。
こんな病院暮らしで、メダルを手に入れているんだから、
高倉さんも… 見れば大喜びだ。」
カイルはあくまでも優しく、リュウを励ましてくれる。
「カイル… 連絡の仕方を教えて。
何も知らないのは心細い。
僕、あまり携帯は使わないけど…
番号はこれだよ。」
リュウはカイルの事を何も知らない自分を思い出した。
何度か声だけでも聞きたかった。
カイルはリュウが差し出した携帯に、
自分の番号を記憶させて…
じゃあまた、と言って、
前と同じように堂々と部屋のドアから出て行った。
カイル… 僕の兄さん。
父さんはカイルの事を知っているだろうか。
ソフィアがどこまで話したか…
父さんにはカイルの存在を話していないのかも知れない。