ダークエンジェル

「うん。寂しくて不安だったから、カイルに頼んだんだ。

いつでも声が聞こえるようにしてくれって。

だって、僕、父さんがあんな事になるなんて思ったことなかったから… 
すごく怖かった。

カイルにしがみついて泣いちゃった。

カイルしかいないでしょ。

先輩は元気にしてくれたけど… 
先輩のうちは家族が多いから… 
きっと僕の気持は分からない、と思ったんだ。

それに… あの人たちの戸籍がない、とか言われて… 
何がなんだか分からなくて… 
とにかく父さんがおきてくれるのを待っていたんだ。

病室に毒チョコレートが届いたり、
父さんを殺そうとした奴も来て… 

その犯人は外国人、多分アメリカ人だと思う。

あ、チョコレートを送った犯人はナタリー・ミシューズと言う60歳の女だって。

父さんの知っている人。」



リュウは父の意識が無い時に起こった事も、
話している内に浮かび… 

話が逸れているようだが、一緒に出している。



「いや、父さんはソフィアに会った頃アメリカにいただけで… 

そんな知り合いはいない。」


「ふーん。でもカイルはあの人のことも知っているようだった。

すぐに話を聞きたかったけど、
いつも忙しそうで… 

でも、僕や父さんを心配してくれて、
こうして日本とアメリカを行き来してくれたんだ。

落ち着いたら話してくれると言っていた。」



こうして飛行機で15時間もかかる所を、

カイルは自分たちのために、

いや、自分たちを心配してくれて、往復していたんだ。

その大きな愛… 感激だ。



「あの人と言うのは美由紀のことか。」


「うん。あの人には絶対に何かある。
僕の心がいつも言っていた。

あの人は嫌い。訳なんか無くても嫌い、って。

先輩は、良い人じゃあないか、と言っていたけど… 
死んでしまっても可愛そうに思わない。

きっと僕には普通の神経がないのかも知れない。」



そう言ってリュウは寂しそうな顔をした。

父は何かおかしい、と感じても
再婚して2人の女子まで子供にした。

全く血縁関係が無いと言うことが分かっても、だ。
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