ダークエンジェル
それが僕の父さん、高倉信秀だ。
それだけ、心の広い、やさしい人なのだ。
しかしリュウは、愛がほしいのは父とカイルだけ。
自分が心から愛するのも父とカイルだけだ。
「でも父さん、どうしてニューヨークなの。
カイルがニューヨークにいるの。」
「なんだ、龍彦は知らなかったのか。
新聞にも出ていたではないか。」
「新聞に… 」
そう言えば今朝も父は新聞を読んで…
様子が違っていた。
それからニューヨークへ行くとか言ったんだ。
いや、その前に、既に飛行機の予約を入れていた。
そうか、今日は携帯でニュースは読んでいない、
と言う事を思い出したリュウ。
一体何があったんだ。
カイルがどうかしたのだろうか。
いきなり心が落ち着かなくなったリュウ、
父に聞こうと顔を見たときだった。
「ほら、これだ。」
そう言って信秀は、
座席の前に着いている画面を
ABCニュースに合せ、リュウに見せた。
そこには重傷を負ったカイルの名前が、
そして入院している病院の様子が出ていた。
「カイルはキングワード財団の会長なの。
名前は時々聞くよ。」
リュウは驚いた。
そんなところの人が、
ああして2度・3度と、1日かけて日本とアメリカを行き来してくれた、
と言う事が驚きで、感動だった。
そして、手術は終わったがまだ意識が戻っていない、
と言う事で慄いた。