聖なる華
「お初にお目にかかります。聖華帝国王女レイアでございます。」
できれば一生お目にかかりたくなかった。
趣味の悪い扉のくせに、目の前の男はいかにも国王という気品が漂っている。
「ゼネマス国、国王アンレスです。あなたが噂の聖華帝国第一王女ですか?」
「噂?」
自分に噂があるとか知らなかった。
まぁ、きっとろくでもない噂だろう。
「ご自分の噂をご存じなかったのですか?有名なのに」
「ええ、知りませんでしたわ。どのような噂なのですか?」
一応自分の噂だ、悪い噂ならもみ消す。
「聖華帝国第一王女はどの国の女よりも美しくお淑やかな人だと。噂は外れてているようですね」
「そのような噂があったとは知りませんでしたわ。」
最後の方は聞かなかった事にしよう。
こうなったら都合の悪い部分はとことん無視してやる。