聖なる華
それから同じ方法でグラス一杯の解毒剤を与えた。
アンレス王を見れば、呼吸は楽になってきている。
呻きもしないし顔色も良くなってきている。
皆が安堵したそのとき遅れて医者がやってきた。
「アンレス王の状態はどうです?!」
「ああ、もう大丈夫のようです」
慌てふためいてきた医者に従者は冷静に答える。
「毒を盛られたんですよね?なぜ、大丈夫なんですか?」
「王女が解毒剤を陛下に飲ませました」
従者はそう言いこちらに向き直った。
「陛下を助けていただいた事には感謝します。ですが、毒が分かり解毒剤まで持っているのですか?」
その事についてはノーコメントで。
とはいかないようで・・・
「たまたまですわ。私、昔同じ毒を盛られたことがありましたの。それからは毒の解毒剤は持っているようにしているんです」