聖なる華



本当に王城が見えてきた。



演技は得意科目だった。



私の演技がばれたのは母上だけだった。



あのときは―――



『なんじゃ?それで妾を騙したつもりかえ?とんだ大根芝居じゃのう』




あの言葉のあとのホホホホホという甲高い笑い声を思い出しただけであの時のいらだちを思い出す。



本気で実の母親に殺意を抱いた瞬間だったかも。



まぁ、父上には常に殺意を抱かさせられるが。




「レイア様、つきました。いいですか?くれぐれも注意してください」



「ああ、分かっている」



私がそう言った瞬間、私が唯一つれてきた侍女のスイレの顔が恐ろしい形相に変わった。



「フフフ。『ああ、わかっている』?」



「あ、分かっていますわ」



恐ろしさに、すぐさま言い直してしまった。



スイレを連れてきたのは正しい選択だったのか・・・?




後悔さきにたたず。このことをいうのかも知れないと感じた瞬間だった。







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