聖なる華

広間に出ると、ちょうどワルツが流れていた。


「俺と踊っていただけますか?」


「えぇ、もちろんですわ。アンレス様」


切り替えの早いのが、私の取り柄。
テラスをでたその時から私は、聖華帝国第一王女にしてこの国の『おしとやか』な王妃レイア。


私たちはゆっくりと音楽にあわせて踊りだした。

ダンスなんて面倒くさいもの、覚えなくていいと昔は思っていたが・・・


今になって役立つとは思わなかった。


「上手ですね。レイア」


「ダンスは王女てして、必要なものですもの。祖国では毎日練習していまさたわ」

そう・・・毎日。
中々覚えない私は、毎日ダンス漬けだった。


そもそも私自身に覚える気がまったくなかったのだから仕方がない。





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