聖なる華


アンレスと踊っていると、まわりの女からもの凄く鋭い視線で見つめられる。



そして、こそこそ囁きあう。


「あのような女よりも、あの方の方が何百倍もアンレス様にお似合いだわ!!」

「そうですわよね。あの女さえこなければ今頃、アンレス様のお隣にいらっしゃったのは、絶対あの方ですわ」



『あの方』?


いったい誰だ?

まぁ、いいか。
別にたいした事じゃないだろう。



その時の私は、まわりの女の言う『あの方』を爪の先ほどにも気にはしていなかった。


むしろどうでもいい。


私には関係ないし、なんだか関わると、ろくでもない事になる気がするしな。



それよりも、問題なのは私の手を取り私の腰に手を添えて踊っている目の前の男だ。





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