いのり


『……ハルは?』


「ん?」

『なんで一人暮らししてるの?』


一瞬、ハルの手が止まる。



「……同じ理由かもな」



ハルはそれしか言わなかった。

情報を聞き出せる良いチャンスかと思って聞いたはずなのに


なぜだろう。


胸がぎゅうっと苦しくなった。



「はい、どーぞ」


ハルはあたしの目の前にオムライスが乗ったお皿を置いた。


『すごいね、美味しそう』

「冷めないうちにどーぞ!」


『いただきます』


丁寧にスプーンですくい、口の中に入れた途端、
ハルはそわそわした様子で「どう?」と聞いてきた。


『すっごい美味しい!』

「ほんまに?よっしゃー」


ハルはガッツポーズをして子どものように喜んだ。


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