いのり


オムライスを食べ終えたあと、

二人でくだらない話をし続けた。

その間に、たくさんのハルを知った。


無造作にセットされた髪。

高校時代、サッカー部でよく鍛えられた体。(自称)

ほんの少したれ目で、よく動く大きな瞳。

笑うとくっきり出るえくぼ。

妹が二人いること。

二年前に上京して、バイトをしながらお給料とお母さんの仕送りで生活していること。


ハルが今年で25歳になったこと。


他にもたくさん、ハルを知った。


あたしたちが話した内容といえば
本当にくだらないことばかりで、
このことがKにばれたらこっぴどく叱られてしまうだろうなぁと、
頭の片隅で考えてしまうほどだった。


でも、これだけは言える。


ハルと過ごした時間が、
すごく楽しかった。


こんなに何も考えずに
心から笑ったのは初めてな気がした。

小さい頃から、笑うことを教わらなかった。

あたしにも
人と触れ合うことがこんなに「楽しい」って思える日がくるなんて…

考えたこともなかった。


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