いのり
マンションを出て、
目的地も知らされないままハルのあとをついて歩く。
『どこに行くの?』
「んー、まだ内緒」
『お楽しみってこと?』
「まあ、そんな感じ」
『じゃあ、楽しみにしておかなきゃ』
「いや、あんま楽しみにされると逆に緊張するから!」
『あははっ』
きっと
どこでも楽しいよ。
ハルと行くところなら。
『すごーい…』
電車に乗り、初めて見る電車の窓からの景色に
思わず釘づけになった。
隣でクスクスと笑う、ハル。
『どうしたの?』
「なんでもない」