いのり



「食った食ったー」

『おなかいっぱいだぁー』


店内の熱気でほてりきった体で外に出ると、
涼しい風が頬を撫でて通り過ぎていった。

同時に眩しい太陽がこっちを向いていて、目を細めた。



「すぐ近くに、俺が好きな公園があるんだ」


『行くっ!』



たどり着いた公園は、
透き通った水が輝く噴水のある大きな公園だった。


「飲み物買ってくる」と言って、
ハルが近くの自動販売機まで走って行ったので、

近くのベンチに腰を下ろし、ハルが戻って来るのを待った。




「はい。紅茶でいい?」

『ありがとう』


ハルが隣に座り、あたしは買ってきてくれた紅茶を一口飲んだ。



「…俺さぁ」

「高校卒業と同時に上京してきたって言ったじゃん?」


『?うん』




「俺、親父と縁切ったんだ」





 ドクン っと


あたしの体のどこかで音をたてたのが、リアルに伝わる。




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