いのり
奇跡
「そろそろ行くかー!」
ハルは伸びをしながら立ち上がった。
座っているあたしが見上げるようにハルを見ると、
空が万遍なく視界に入る。
さっきまで雲ひとつなかった青空の天辺が、
もうオレンジ色に色づき始めている。
気づいたらずいぶんと公園に長居してしまっていた。
『帰るの?』
「帰る前に寄るところがある」
『どこー?』
「めっちゃええとこ!」
ハルはあたしの手を握った。
『…ハル?』
「嫌?」
『…ううん!』
「行こっ」
さっきみたいに、
早歩きで進んでいくハル。
さっきとは違って見える、
大きなハルの背中。
ハルの手はすごくあったかい。