いのり
『…ありがとう、ハル』
「どういたしまして」
『あたし、初めて「生きててよかった」って思った…』
「大げさだなぁ」
そう言って、ハルは笑いながらあたしの頭をくしゃくしゃと撫でた。
『…ハル?』
風が吹いたと思ったら、
ハルに抱きしめられているということに気づく。
「…沙羅」
ハルが、耳元でささやく。
「好きだよ」
まっすぐなハルの瞳に
あっという間に捕われてしまう。
涙で視界がゆがむ。
「沙羅のそばにいたい」
『…ハルが、好き』
どうしてだろう
涙が止まらないよ。
「沙羅」
泣きじゃくるあたしを
ハルは優しく抱きしめてくれた。