幼馴染みのお隣さん
あたし、いつからこんな泣き虫になっちゃったんだろう。
でもね、あたし。
啓の言葉一つで、嬉しくなるし。
啓の言葉一つで、悲しくなる。
啓の言葉一つに、驚かされるし。
啓の言葉一つに、涙が溢れる。
まるで啓のあやつり人形みたい。
自分であたしを啓が動かしてるのを想像して、笑ってしまった。
「……何笑ってんだよ、気持ちわりぃ」
そういう啓も表情が穏やかで、あたしは幸せを感じた。
「あたしもたーべよっと」
啓の隣で、お弁当を開く。
「ゲッ! またウィンナー入ってる。マジで飽きた」
「ワザとだし!
前あたしに文句言った仕返し」
「…チッ」
「舌打ちすんな!」
「地獄耳だな…」
「な!
こんなに近いんだから嫌でも耳に入ってくるっての!!」
「バーカ」
この空間が止まればいいと思った。
このまま、時間が止まればいいと思った。
2人きりのこの時間が、
小さいけど、大きな幸せに思えて、
仕方なかった。