【短】甘く愛して欲しいのに!
そのまま悠希は無言で歩き続け、保健室の扉も足で乱暴に開けた。


「先生ー…って、誰もいねぇじゃん」


ため息をつきながら、あたしをベットの上に優しく下ろしてくれた。


「……ありがとう」


そのままベットの上に座った悠希の背中に、小さく呟いた。


あたしって本当にダメだな。

悠希に迷惑ばっかかけて。


諦め悪かったけど、今なら言える気がする…。


「悠希…別れよう?」


「は!?」


勢いよく振り返った悠希と目が合っただけなのに、泣きそうだよ…。


「今まで、好きでもないあたしと付き合ってくれてありがとう」


精一杯笑顔を作ってみる。


「……お前、本当バカ」


「え?」


声が小さ過ぎて、悠希が何を言ったのか分からなかった。
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