【短】甘く愛して欲しいのに!
ガチャッ


屋上への扉を開けると、一気に冷たい風が吹き抜ける。


「悠希?何で屋上?大会前なのに、風邪引いちゃうよ」


「……ここなら誰もこねぇと思って」


あたしの方を見向きもしない悠希。

何か雰囲気がいつもと違う…?


「どうか…した?」


変な緊張が走って、言葉が詰まる。


「体調はもういいのか?」


「え?あ、うん…」


まず最初にそんなこと聞かれるなんて思ってなくて、益々意味が分からなくなる。

体調はとっくに万全だよ?


「……じゃあ俺、何かした?」


…………。


「ん?何が?」


今目の前にいるのは誰?

悠希はいつも適当でちょっと冷たい。


……この気弱な人は誰?
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