本日の降水確率0%
「熊谷って雨女なの?」



 彼はきつい一言を告げてくれた。

「うわぁ、川端って直球ー」

 クラスメートが笑って冷やかす。
 なぁなぁ……と言いながら、川端くんはズカズカ歩いて私の前に来ると、足を止めた。

「どうやって雨を降らせてるの? ねぇ、俺に教えてよ」

 にやにやする彼を見上げ、私は眉を寄せた。

 何でそんな無神経なこと言うの?
 
 雨女と呼ばれて、嬉しいと思っているとでもいうの?

 信じられない、信じられないよ。

 川端くん、どういう神経してるの?!

 心にたくさん傷がついて、息をするのも辛いほど、胸が苦しくなる。


 嫌だ、と思った。
 
 瞳から一筋の涙がこぼれると、私は教室から逃げ出した。それと同時に、ぱらぱらと降っていた雨が、一気にザーザー降りへと変わる。

 長い廊下を無我夢中で走った。

 涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら、私はひたすら校舎の廊下を駆け抜ける。

 走りきったとき、私は渡り廊下の先にある、今は使われていない小さな用具室の前にいた。
< 3 / 7 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop